【経営者必見】家族を役員にするメリットを最大限に活かす方法|法人成りや個人事業主におすすめ

「家族を役員にして節税したい」と考えている経営者や個人事業主の方へ。

具体的な方法や、税務署に否認されるリスクについて不安はありませんか?

この記事を読めば、役員報酬による所得分散といった節税の仕組みから、役員退職金や社宅制度を活用した5つのメリット、そして税務調査で指摘されないための重要ポイントまで、網羅的に理解できます。

結論、家族役員による節税効果を最大化するには、勤務実態に見合った適正な報酬設定と、それを証明する客観的な資料の準備が不可欠です。

個人事業主の専従者給与との違いも明確にし、あなたの事業に最適な選択を後押しします。

「家族を役員にすると節税になる」と耳にしたことがある経営者の方は多いでしょう。

この節税効果の背景には、日本の税制度の特性を活かした明確な仕組みが存在します。

具体的には「所得の分散」と「給与所得控除の活用」という2つの大きな柱によって成り立っています。

経営者一人に所得が集中している状態から、家族へ役員報酬という形で所得を移転させることで、世帯全体で支払う税金を最適化することが可能になります。

ここでは、その具体的な仕組みについて詳しく解説します。

所得税と法人税の税率差を利用した所得分散

節税の最も基本的な考え方が、所得税と法人税の税率構造の違いを利用した「所得の分散」です。

個人の所得にかかる所得税は、所得が増えれば増えるほど税率も高くなる「累進課税」が採用されています。

一方で、法人の利益にかかる法人税は、資本金1億円以下の中小法人の場合、所得800万円を境に税率が変わるものの、所得税ほど急激な税率の上昇はありません。

以下の表で、所得税と法人税(中小法人の場合)の税率構造の違いを確認してみましょう。

所得税率(令和5年分以降)

課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円超 330万円以下10%97,500円
330万円超 695万円以下20%427,500円
695万円超 900万円以下23%636,000円
900万円超 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円超 4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

法人税率(中小法人の場合)

所得金額税率
年800万円以下の部分15%
年800万円超の部分23.2%

例えば、経営者一人が役員報酬として2,000万円を受け取っている場合、所得税は非常に高い税率(33%〜40%)が適用されます。

しかし、この所得の一部を家族役員への報酬として支払うことで、状況は大きく変わります。

仮に経営者本人の報酬を1,200万円、配偶者の報酬を800万円に設定したとします。
すると、それぞれに適用される所得税率が下がり、世帯全体で見たときに、経営者一人で高額な報酬を受け取るよりも所得税・住民税の合計額を大幅に軽減できるのです。

これが、所得分散による節税の基本的な仕組みです。

給与所得控除の活用

所得分散と並行して大きな節税効果を生むのが「給与所得控除」の活用です。

給与所得控除とは、給与所得者(会社員や役員など)に認められた経費のようなもので、収入金額に応じて一定額を所得から差し引くことができます。

経営者一人の場合、当然ながら給与所得控除を使えるのは一人分だけです。

しかし、家族を役員にして役員報酬を支払うことで、その家族も給与所得者となり、新たに給与所得控除の枠が生まれます。

例えば、配偶者を役員にして年間300万円の役員報酬を支払った場合、配偶者は98万円の給与所得控除を受けることができます(下記の表を参照)。
つまり、課税対象となる所得を98万円も圧縮できるのです。

給与所得控除額(令和2年分以降)

給与等の収入金額給与所得控除額
162.5万円以下55万円
162.5万円超 180万円以下収入金額 × 40% – 10万円
180万円超 360万円以下収入金額 × 30% + 8万円
360万円超 660万円以下収入金額 × 20% + 44万円
660万円超 850万円以下収入金額 × 10% + 110万円
850万円超195万円(上限額)

このように、控除を適用できる人数が増えることで、世帯全体の課税所得を効果的に減らすことができます。

所得分散と給与所得控除の活用、この2つを組み合わせることが、家族を役員にする際の節税の基本戦略となります。

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家族を役員に迎えることは、単に経営をサポートしてもらうだけでなく、税制上の大きなメリットを享受できる可能性があります。

ここでは、法人経営者や法人成りを目指す個人事業主が知っておくべき、代表的な5つの節税メリットを具体的に解説します。

メリット1 役員報酬で法人税を圧縮

家族を役員にし、その働きに見合った役員報酬を支払うことで、法人の利益を圧縮し、法人税の負担を軽減できます。

役員報酬は、原則として法人の経費(損金)として計上できるためです。

例えば、法人の利益が1,000万円の場合、そのままでは1,000万円に対して法人税が課されます。

しかし、家族役員に年間300万円の役員報酬を支払うと、法人の利益は700万円に圧縮され、その分法人税額が減少します。

ただし、役員報酬を損金として認めてもらうためには、毎月決まった金額を支払う「定期同額給与」の原則を守る必要があります

事業年度の途中で自由に金額を変更することは原則として認められないため、事業計画に基づいた慎重な金額設定が求められます。

メリット2 経営者個人の所得税と住民税を軽減

経営者一人に所得が集中すると、所得税の累進課税制度により高い税率が適用されてしまいます。

家族を役員にして役員報酬を支払うことで、経営者個人の所得を家族に分散させ、世帯全体での税負担を軽減することが可能です。

役員報酬を受け取る家族は「給与所得控除」という、給与所得者向けの経費控除を利用できます。
これにより、課税対象となる所得額がさらに抑えられます。

具体的に、経営者一人が年収2,000万円を得るケースと、経営者1,200万円、配偶者800万円に所得を分散したケースで、世帯全体での税負担がどう変わるか見てみましょう。

ケース1:経営者一人が年収2,000万円ケース2:所得分散(経営者1,200万円、配偶者800万円)
経営者の所得税・住民税約680万円約280万円
配偶者の所得税・住民税0円約110万円
世帯合計の税負担約680万円約390万円

※上記は各種控除を簡略化した概算値です。実際の税額は個々の状況により異なります。

この例のように、所得を分散することで、世帯全体の手取り額を年間で数百万円単位で増やせる可能性があります

これは、家族を役員にする最も直接的で大きなメリットの一つと言えるでしょう。

メリット3 役員退職金で大きな節税効果

家族役員が退任する際には、役員退職金を支給することができます。

この役員退職金は、税制上非常に優遇されており、大きな節税効果が期待できます。

退職金には「退職所得控除」という大きな控除枠が適用されます。
さらに、控除後の金額を2分の1にした額が課税対象となるため、通常の給与所得に比べて所得税・住民税が大幅に軽減されます。

法人側にとっても、適正な額の役員退職金は全額を損金として計上できるため、支給した事業年度の法人税負担を大きく引き下げる効果があります。

長年にわたる家族の貢献に報いると同時に、会社の利益を圧縮し、税負担を抑えながらまとまった資金を家族に移転できる、非常に強力な節税策です。

ただし、不相当に高額な退職金は税務署に否認されるリスクがあるため、役員の勤続年数や功績に応じた適切な金額(功績倍率法などで算定)を設定することが重要です。

メリット4 相続税対策にもつながる

会社のオーナー経営者は、自社株や個人資産が積み上がりやすく、将来の相続時に高額な相続税が発生するリスクを抱えています。

家族を役員にし、継続的に役員報酬を支払うことは、この相続税対策としても有効です。

役員報酬として家族に資金を渡すことは、給与の支払いであり、贈与税の対象にはなりません。
これにより、経営者個人の資産を合法的に、かつ計画的に次世代である家族へ移転させることができます

これは、将来の相続財産そのものを減らす効果があり、結果として相続税の負担軽減につながります。

また、役員退職金を活用すれば、一度にまとまった金額を低い税負担で家族に移転することも可能です。

このように、役員報酬や退職金は、会社の節税だけでなく、経営者一族の資産承継を円滑に進めるための重要なツールとなり得ます。

メリット5 出張手当や社宅制度の活用

家族が役員になることで、出張手当(日当)や社宅といった福利厚生制度を活用し、さらなる節税を図ることが可能になります。

まず、出張が多い業務に従事する家族役員には、旅費規程を整備することで出張手当を支給できます。

この出張手当は、受け取った役員にとっては非課税所得となり、会社側は経費(損金)として計上できるというメリットがあります。

次に、社宅制度です。
会社名義で物件を借り上げ、それを社宅として家族役員に貸し出すことで、家賃の大部分を会社の経費にできます。

役員は会社に対して一定の家賃(賃貸料相当額)を支払う必要はありますが、個人契約で家賃を全額自己負担する場合に比べて、実質的な住居費の負担を大幅に軽減できます

これも、会社にとっては経費増による法人税の節税、個人にとっては可処分所得の増加につながる有効な方法です。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

家族を役員にすることで得られる節税メリットは非常に大きいですが、その恩恵を最大限に享受するためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

特に、税務調査で指摘を受けないための対策は必須です。

ここでは、メリットを最大化し、リスクを最小限に抑えるための具体的な方法を解説します。

税務署に否認されないための対策

家族を役員にした場合、税務署が最も注視するのは「その役員報酬が事業の実態に見合っているか」という点です。

もし「名ばかり役員」と判断されたり、報酬が「不相当に高額」と見なされたりすると、役員報酬の損金算入が否認され、追徴課税が発生するリスクがあります。

こうした事態を避けるため、以下の対策を徹底しましょう。

勤務実態を証明する資料を準備する

家族役員が実際に会社の業務に従事していることを客観的に証明することが、最も重要な対策です。
口頭での説明だけでは不十分であり、税務調査の際には具体的な証拠資料の提示を求められます。
万が一の調査に備え、日頃から以下の資料を整備・保管しておくことが不可欠です

資料の種類内容とポイント
出勤簿・タイムカード日々の出退勤時間を記録したもの。客観性が高い証拠となります。
業務日報・週報担当した業務内容、進捗状況などを具体的に記録します。
職務分掌規程・組織図その役員が会社内でどのような役割と責任を担っているかを明記した書類です。
メールの送受信履歴取引先や社内での業務に関するやり取りが記録されたメールは、有力な証拠となります。
会議の議事録経営会議など、役員として出席した会議での発言内容や決定事項の記録です。

これらの資料を揃えることで、家族役員が会社の経営に実質的に関与していることを明確に証明できます。

適正な役員報酬額を設定する

役員報酬は、高すぎても低すぎても問題となります。
特に、勤務実態や会社の業績に見合わない高額な報酬は、税務署から「不相当に高額な役員給与」として損金算入を否認される可能性が非常に高いです。
役員報酬を決定する際は、客観的な基準に基づいて適正な金額を設定する必要があります

税法上、役員報酬が適正かどうかは、主に以下の3つの基準で総合的に判断されます。

判断基準具体的な内容
職務内容との整合性役員の担当業務の内容、責任の度合い、会社への貢献度などに見合った金額であるか。他の役員や従業員の給与とのバランスも考慮されます。
会社の収益状況会社の売上や利益と比較して、役員報酬が過大ではないか。赤字経営にもかかわらず高額な報酬を支払い続けると、否認リスクが高まります。
同業他社の水準事業内容、事業規模、収益状況が類似する同業他社の役員報酬額と比較して、著しく高額ではないか。

これらの基準を参考に、なぜその報酬額になったのかを合理的に説明できるようにしておくことが重要です。
また、役員報酬は原則として事業年度開始から3ヶ月以内に決定し、その事業年度中は同額を支払い続ける「定期同額給与」のルールを守ることも忘れないでください。

議事録を必ず作成し保管する

役員報酬の決定や変更は、株主総会または取締役会の決議事項です。
これらの会議が正規の手続きに則って開催され、適正に決議されたことを証明するために、議事録の作成と保管が法律で義務付けられています。
税務調査では、役員報酬の決定プロセスを確認するために議事録の提示を求められることが一般的です

議事録には、以下の項目を正確に記載する必要があります。

  • 開催日時および場所
  • 出席した役員・株主の氏名
  • 議長の氏名
  • 議事の経過の要領とその結果(誰の役員報酬をいくらにするか、などの決議事項)
  • 議事録作成者の氏名

形式的に作成するだけでなく、実際に議論した内容を反映させた、実態のある議事録を作成することが、信頼性を高める上で非常に重要です。

社会保険料の負担を考慮した資金計画

家族を役員にして役員報酬を支払うと、節税メリットと同時に社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入義務が発生します。

これは節税効果を考える上で見逃せないコスト増の側面です。

個人事業主時代の専従者給与とは異なり、役員は報酬額にかかわらず社会保険の強制加入対象となります。

社会保険料は、会社と役員個人がそれぞれ約半分ずつ負担します。

つまり、役員報酬を支払うことで、会社としての新たな費用負担が生じるのです。

節税できる税額と、新たに発生する社会保険料の会社負担分を比較し、トータルで会社のキャッシュフローにどのような影響があるかを事前にシミュレーションすることが極めて重要です

例えば、役員報酬の月額によって、会社が負担する社会保険料は以下のように変動します(令和6年度の東京都の保険料率を参考にした概算値)。

標準報酬月額役員報酬の月額会社負担額(月額)会社負担額(年額)
88,000円88,000円未満約13,000円約156,000円
200,000円195,000円~210,000円約30,000円約360,000円
300,000円290,000円~310,000円約45,000円約540,000円

このように、役員報酬を設定する際には、法人税や所得税の節税効果だけでなく、社会保険料の負担増も必ず資金計画に織り込み、会社全体の利益を最大化できるバランスの取れた報酬額を検討しましょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

個人事業主の方が家族に給与を支払う場合、「青色事業専従者給与」という制度を利用します。

一方で、法人化(法人成り)して家族を役員に迎え入れた場合は「役員報酬」として給与を支払うことになります。

この2つは似ているようで、税務上の扱いや節税効果、社会保障の面で大きな違いがあります。

現在個人事業主の方や、これから法人化を検討している方にとって、この違いを理解することは事業形態を選択する上で非常に重要です。

ここでは、それぞれの制度の概要と、法人化によって得られるメリットを具体的に比較・解説します。

個人事業主の青色事業専従者給与とは

青色事業専従者給与とは、青色申告を行っている個人事業主が、生計を同一にする配偶者や15歳以上の親族に支払う給与を、全額必要経費として計上できる制度です。

この制度を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 青色申告者と生計を同一にする配偶者その他の親族であること。
  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること。
  • 原則として、その年を通じて6か月を超える期間、その事業に専ら従事していること。

また、事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署に提出し、届出書に記載した方法と金額の範囲内で給与を支払わなければなりません。

あくまでも労働の対価であるため、勤務実態に見合わない過大な給与は経費として認められない点に注意が必要です。

なお、専従者給与の支払いを受ける家族は、配偶者控除や扶養控除の対象から外れることになります。

法人化して家族を役員にするメリット

個人事業主が法人化し、家族を役員として迎え入れることには、専従者給与制度にはない多くのメリットが存在します。

特に節税面や保障面での違いは大きく、事業の成長段階によっては法人化が有利に働くケースが多くあります。

個人事業主の「専従者給与」と法人の「役員報酬」の主な違いを以下の表にまとめました。

項目個人事業主(専従者給与)法人(役員報酬)
給与額の設定届出の範囲内で、仕事内容に見合った適正額に限られる。定款または株主総会の決議に基づき、不相当に高額でなければ自由に設定可能。
経費計上の自由度給与のみ経費算入可能。給与に加え、役員退職金の支給が可能。生命保険料なども損金算入できる場合がある。
社会保険国民健康保険・国民年金に加入。健康保険・厚生年金に加入。
退職金の支給原則として経費にできない。(小規模企業共済等で個人が準備)経費(損金)として支給可能。受け取る側も税制上優遇される。

この違いから、法人化には以下のような具体的なメリットが生まれます。

給与額設定の自由度が高い
役員報酬は、事業年度開始から3か月以内に決定すれば、その事業年度においては毎月同額を損金として計上できます。
専従者給与のように「仕事内容に見合った額」という曖昧な基準ではなく、会社の利益計画に基づいて戦略的に金額を設定できるため、より柔軟で計画的な所得分散が可能になる点が大きなメリットです。

社会保険加入による保障の手厚さ
法人役員になると、健康保険・厚生年金への加入が義務付けられます。
保険料の負担は増えますが、国民健康保険にはない「傷病手当金」や「出産手当金」といった制度が利用できるほか、将来の年金受給額(老齢厚生年金)が増えるなど、個人事業主よりも手厚い保障を受けられるようになります。

役員退職金の活用
法人化する最大のメリットの一つが、役員退職金の支給です。
家族役員が退職する際に退職金を支払うことができ、その全額を会社の損金として計上できます。
受け取る側も「退職所得」として扱われるため、退職所得控除という非常に優遇された税制を利用でき、給与で受け取るよりも税負担を大幅に軽減できます。
これは、個人事業主の専従者給与にはない、法人ならではの強力な節税策です。

家族を役員にすることは、所得分散や役員報酬の経費化により、法人税や経営者個人の所得税を軽減できる有効な節税策です。

役員退職金の活用は大きな節税効果を生み、相続税対策にもつながります。

ただし、これらのメリットを最大限に活かすには、勤務実態の証明や適正な報酬額の設定といった、税務署に否認されないための対策が不可欠です。

社会保険料の負担も考慮し、専門家と相談しながら計画的に進めることが成功の鍵となります。

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