「合同会社」「株式会社」「有限会社」の違いがよく分からない…そんな方のために、3つの会社形態の違いをメリット・デメリット、設立費用・手続き、信用度、資金調達、経営のしやすさといった様々な観点からシンプルに解説します。
この記事を読めば、それぞれの会社形態の特徴や設立方法、そして自分に最適な会社形態がどれなのかが分かります。
起業を考えている方、会社設立について学びたい方は必見です。
自分に合った会社形態を選び、スムーズな事業スタートを切りましょう。
合同会社、株式会社、有限会社の概要
会社を設立するには、まずどの形態の会社にするかを決める必要があります。
日本で一般的な会社形態は、「株式会社」「合同会社」「有限会社」の3つです。
それぞれの特徴を理解し、自身の事業内容や将来のビジョンに合った形態を選択することが重要です。
この章では、それぞれの会社形態の概要を簡潔に説明します。
株式会社とは
株式会社は、最も一般的な会社形態であり、社会的な信用度が高く、資金調達もしやすいのが特徴です。
出資者である株主は、出資額の範囲内で責任を負います(有限責任)。
株式を発行することで、広く資金を集めることができます。
また、株主総会や取締役会といった組織体制が法律で定められています。
合同会社とは
合同会社は、比較的新しい会社形態で、設立手続きが簡便で、費用も抑えられるのが特徴です。
出資者である社員は、出資額の範囲内で責任を負います(有限責任)。株式会社のように株式を発行することはありません。
意思決定機関は社員総会ですが、定款で自由にルールを定めることができます。
そのため、少数精鋭で事業を展開したい場合に適しています。
有限会社とは
有限会社は、かつて株式会社と並ぶ代表的な会社形態でしたが、2006年の会社法改正により、新規設立ができなくなりました。
既存の有限会社は存続可能ですが、株式会社への移行も可能です。
出資者である社員は、出資額の範囲内で責任を負います(有限責任)。
項目 | 株式会社 | 合同会社 | 有限会社 |
---|---|---|---|
設立費用 | 比較的高額 | 比較的安価 | 比較的安価(新規設立不可) |
設立手続き | 比較的複雑 | 比較的簡便 | – |
資金調達 | 容易 | やや困難 | やや困難 |
信用度 | 高い | やや低い | 低い |
経営の自由度 | 低い | 高い | 高い |
社員(株主)の責任 | 有限責任 | 有限責任 | 有限責任 |
意思決定機関 | 株主総会、取締役会 | 社員総会 | 社員総会 |
上記のように、それぞれメリット・デメリットがあるため、自身の事業計画に合わせて適切な会社形態を選択することが重要です。
後続の章では、それぞれの会社形態の特徴をより詳細に比較検討していきます。
株式会社の特徴
株式会社は、現在日本で最も一般的な会社形態です。
出資者である株主から資金を調達し、事業を運営します。
株主は出資額に応じて議決権を持ち、会社の経営に参加することができます。
株式会社は、多くの法律や規則に基づいて運営されており、社会的な信用度が高いとされています。
株式会社のメリット
株式会社には、以下のようなメリットがあります。
- 資金調達力が高い:株式を発行することで、多くの投資家から資金を調達できます。銀行からの融資も受けやすい傾向にあります。
- 社会的信用力が高い:株式会社は、法律や規則に基づいて運営されているため、取引先や顧客からの信頼を得やすいです。特に上場企業は、より高い信用力を持ちます。
- 株主の有限責任:株主は、出資額の範囲内でのみ責任を負います。会社の負債が個人の財産に影響することはありません。
- 経営の永続性:株主が変わっても会社は存続するため、長期的な事業展開が可能です。
株式会社のデメリット
一方で、株式会社には以下のようなデメリットもあります。
- 設立費用・手続きが複雑:合同会社に比べて、設立費用が高く、手続きも複雑です。定款認証の手続きが必要で、専門家のサポートが必要となる場合もあります。
- 運営コストが高い:株式会社は、法律や規則に基づいた運営が必要となるため、会計処理や監査など、運営コストが高くなる傾向にあります。決算公告の義務もあります。
- 経営の自由度が低い:株主総会での決議が必要な事項が多く、経営の自由度が低い場合があります。少数株主の意見も尊重する必要があり、意思決定に時間がかかることもあります。
株式会社の設立費用・手続き
株式会社の設立費用と手続きは、以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
登録免許税 | 最低15万円(資本金の0.7%が15万円を超える場合、その金額) |
定款認証手数料 | 5万円程度(公証人役場へ支払う費用) |
定款印紙代 | 4万円 |
その他費用(司法書士報酬など) | 数万円〜数十万円(手続きを依頼する場合) |
設立手続き | 定款作成、定款認証、設立登記申請など |
これらの費用に加えて、資本金が必要となります。資本金は、事業内容や規模によって異なりますが、1円から設立することが可能です。
ただし、資本金が低いと会社の信用力に影響する可能性があるため、適切な金額を設定することが重要です。
また、電子定款を作成することで印紙代4万円を節約することができます。
▶ 会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
合同会社の特徴
合同会社は、2006年に施行された会社法で新しく設立できるようになった会社形態です。
株式会社と比較して設立費用が安く、手続きも簡素であることが特徴です。
また、内部組織の柔軟性が高いこともメリットとして挙げられます。
以下で、合同会社の特徴を詳しく解説します。
合同会社のメリット
合同会社には、以下のようなメリットがあります。
- 設立費用が安い株式会社と比べて、登録免許税などの設立費用が安く抑えられます。株式会社では最低でも約24万円の資本金が必要ですが、合同会社には資本金の制限がありません。
- 設立手続きが簡単定款認証が不要なため、株式会社よりも設立手続きが簡素です。電子定款を利用すれば、印紙代も節約できます。
- 内部組織の柔軟性が高い社員間の合意によって自由に内部組織を設計できます。取締役会や監査役などの機関を設ける必要がなく、意思決定が迅速に行えます。
- 損失の繰越控除が可能事業年度において損失が生じた場合、最長9年間、将来の利益と相殺して法人税を軽減することができます。これは株式会社と同様のメリットです。
合同会社のデメリット
合同会社には、以下のようなデメリットもあります。
- 知名度・信用度が低い株式会社と比較して、社会的な知名度や信用度が低いとされる場合があります。特に、金融機関からの融資を受ける際などに影響が出る可能性があります。
- 社員の有限責任合同会社の社員は、出資額の範囲内で責任を負います。これはメリットでもありますが、事業が失敗した場合、出資額以上の責任を負わないため、取引先によっては信用度に不安を感じる可能性があります。一方で、株式会社は株主の有限責任であり、出資額以上の責任を負うことはありません。
- 上場できない合同会社は株式を発行しないため、証券取引所に上場することができません。将来的に上場を目指す場合は、株式会社を選択する必要があります。
合同会社の設立費用・手続き
設立費用
項目 | 費用 |
---|---|
登録免許税 | 約6万円 |
定款作成費用(専門家に依頼する場合) | 約5万円~ |
印紙代(電子定款を利用しない場合) | 4万円 |
上記はあくまで目安です。
実際にかかる費用は、手続き方法や専門家への依頼の有無などによって異なります。
設立手続き
- 定款の作成会社の目的、商号、事業年度、本社所在地、社員の出資額などを記載した定款を作成します。
- 社員の決定合同会社に出資する社員を決定します。
- 資本金の払い込み社員は出資額を払い込みます。合同会社には最低資本金はありません。
- 設立登記作成した定款や社員のリストなどを添付し、法務局に設立登記を申請します。
これらの手続きは、専門家(司法書士や行政書士など)に依頼することも可能です。
▶ 会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
有限会社の特徴
有限会社は、かつて中小企業の設立形態として広く利用されていましたが、2006年の会社法施行により新規設立ができなくなりました。
現在、有限会社として存続している企業は、会社法施行前に設立された企業のみです。
これらの企業は、有限会社のまま事業を継続することも、株式会社へと移行することも可能です。
有限会社のメリット・デメリット
有限会社には、株式会社と比較して、設立費用が安く、手続きが簡素であるというメリットがありました。
しかし、有限会社は株式会社と比べて信用度が低く、資金調達も難しいというデメリットも存在しました。
特に、出資者の有限責任の範囲が、出資額ではなく「社員全員の財産の合計額」とされていたため、出資することに対するリスクが大きく、外部からの資金調達には不向きでした。
有限会社が新規設立できない理由
有限会社が新規設立できない理由は、会社法の施行により、株式会社の設立が容易になり、有限会社のメリットが薄れたためです。
会社法では、株式会社の最低資本金制度が撤廃され、設立費用が大幅に削減されました。
また、設立手続きも簡素化され、有限会社と比べて大きな差がなくなりました。
これらの変更により、有限会社を存続させる必要性が薄れ、新規設立が禁止されることとなりました。
有限会社から株式会社への移行
既存の有限会社は、株式会社へ移行することが可能です。
移行手続きは、定款変更などの手続きが必要となります。有限会社から株式会社へ移行することで、信用力の向上や資金調達の円滑化などのメリットが期待できます。
移行の際には、行政書士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。
有限会社の組織体制
有限会社は、社員総会、取締役、監査役(任意設置)といった組織体制をとっていました。
以下に、それぞれの役割をまとめます。
機関 | 役割 |
---|---|
社員総会 | 会社の重要な意思決定機関。定款変更、取締役の選任・解任などを行います。 |
取締役 | 会社の業務執行機関。会社の経営を行います。 |
監査役 | 取締役の業務執行を監査する機関。任意設置です。 |
有限会社では、取締役は社員の中から選出され、業務執行を行います。
また、監査役は、取締役の業務執行を監査し、会社の健全な運営を監督する役割を担います。
ただし、有限会社における監査役の設置は任意であり、設置されていない場合もありました。
有限会社に関するよくある誤解
有限会社に関して、以下のような誤解がよく見られます。
- 「有限会社は株式会社よりも規模が小さい」という誤解。会社規模と会社形態は関係ありません。
- 「有限会社は倒産しやすい」という誤解。倒産のしやすさと会社形態は直接的な関係はありません。
これらの誤解は、有限会社という名称からくるイメージによるものと考えられます。
会社形態は、あくまでも会社の法的構造に関するものであり、事業の規模や成功・失敗とは直接的な関係はありません。
▶ 会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
合同会社、株式会社、有限会社の比較
会社設立を検討する際に、どの会社形態が適切か迷う方も多いでしょう。
合同会社、株式会社、有限会社はそれぞれ異なる特徴を持つため、設立費用、設立手続き、会社の信用度、資金調達、経営のしやすさといった観点から比較し、自身に最適な形態を選択することが重要です。
以下では、これらの観点に基づいて3つの会社形態を比較検討します。
設立費用
設立費用は会社形態によって大きく異なります。
株式会社は登録免許税や公証人手数料など比較的高額になりがちですが、合同会社は比較的安価に設立できます。
有限会社は現在、新規設立できません。
会社形態 | 設立費用(目安) |
---|---|
株式会社 | 25万円程度~ |
合同会社 | 6万円程度~ |
有限会社 | 新規設立不可 |
株式会社は資本金1円でも設立可能ですが、設立費用は登録免許税や定款認証費用などで最低でも25万円程度は必要になります。
合同会社は定款認証が不要なため、設立費用を6万円程度に抑えることが可能です。
設立手続き
設立手続きも会社形態によって異なります。
株式会社は定款認証が必要で、手続きが複雑になりがちです。
合同会社は定款認証が不要なため、比較的簡単に設立できます。
有限会社は現在、新規設立できません。
会社形態 | 設立手続きの複雑さ | 定款認証 |
---|---|---|
株式会社 | 複雑 | 必要 |
合同会社 | 比較的簡単 | 不要 |
有限会社 | 新規設立不可 | – |
株式会社の設立では、公証役場での定款認証が必要となるため、合同会社と比較して時間と手間がかかります。
電子定款を作成することで費用を抑えられますが、手続き自体は複雑です。
会社の信用度
一般的に、株式会社は合同会社よりも信用度が高いとされています。
これは、株式会社の歴史が長く、社会的に広く認知されているためです。
有限会社は以前は存在していましたが、現在は新規設立できません。
株式会社は、社会的な認知度が高く、取引先や金融機関からの信用を得やすいというメリットがあります。
一方で、合同会社は歴史が浅いため、信用度という点では株式会社に劣ると見られる場合もあります。
しかし、事業内容や実績次第で信用を築くことは十分可能です。
資金調達
資金調達のしやすさも会社形態によって異なります。
株式会社は株式を発行できるため、資金調達がしやすいというメリットがあります。
合同会社は株式を発行できないため、資金調達は株式会社に比べて難しい場合が多いです。
有限会社は現在、新規設立できません。
株式会社は、株式発行による資金調達が可能であり、ベンチャーキャピタルからの出資を受けやすいというメリットがあります。
合同会社は、出資を受ける際に、出資契約の内容を綿密に検討する必要があります。
経営のしやすさ
合同会社は株式会社に比べて経営の自由度が高く、意思決定が迅速に行えるというメリットがあります。
株式会社は株主総会などの手続きが必要となるため、意思決定に時間がかかる場合があります。
有限会社は現在、新規設立できません。
合同会社は、少数精鋭で事業を展開する場合や、迅速な意思決定が必要な場合に適しています。
株式会社は、組織が大きくなるにつれて、コンプライアンスの徹底や株主への説明責任などが重要になります。
▶ 会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順
それぞれの会社形態が向いている人
ここまで、合同会社、株式会社、有限会社の違いについて見てきましたが、それぞれどのような人に向いているのでしょうか?
3つの会社形態の特徴を踏まえ、それぞれを検討してみましょう。
株式会社が向いている人
株式会社は、社会的な信用力が高く、資金調達もしやすい形態です。
そのため、事業を大きく展開したいと考えている人に向いています。
また、株式を発行することで、従業員や投資家から資金を調達することも可能です。
具体的にはこんな人
- 将来的に上場を目指している人
- ベンチャーキャピタルなどから資金調達を考えている人
- 社会的な信用力を重視する人
- 従業員にストックオプションを付与したい人
- M&Aを視野に入れている人
ただし、設立費用やランニングコストは合同会社よりも高くなる傾向があります。
また、株式会社には、会社法に基づいた様々な手続きやルールが定められているため、運営に手間がかかる側面もあります。
そのため、ある程度の規模の事業を想定している人に向いていると言えるでしょう。
合同会社が向いている人
合同会社は、設立費用やランニングコストが株式会社に比べて安く、設立手続きも簡便です。
そのため、小規模で事業を始めたい人や、コストを抑えたいと考えている人に向いています。
また、意思決定のスピードが速いこともメリットの一つです。
具体的にはこんな人
- 1人または少人数で事業を始めたい人
- 副業として事業を始めたい人
- 設立費用やランニングコストを抑えたい人
- 迅速な意思決定を重視する人
- 事業の成長スピードよりも、安定性を重視する人
一方で、合同会社は株式会社に比べて社会的な信用力が低く、資金調達も難しい傾向があります。
そのため、大規模な資金調達が必要な事業には不向きです。
また、出資者の有限責任という特性上、金融機関からの融資を受けにくい場合もあります。
項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
メリット | 社会的な信用力が高い、資金調達しやすい、株式公開が可能 | 設立費用・ランニングコストが安い、設立手続きが簡便、意思決定が速い |
デメリット | 設立費用・ランニングコストが高い、運営に手間がかかる、法規制が厳しい | 社会的な信用力が低い、資金調達しにくい、知名度が低い |
向いている人 | 事業を大きく展開したい人、社会的な信用力を重視する人、資金調達を積極的に行いたい人 | 小規模で事業を始めたい人、コストを抑えたい人、迅速な意思決定を重視する人 |
有限会社は、2006年の会社法改正により新規設立ができなくなりました。
既存の有限会社は株式会社または合同会社へと移行することが可能です。
そのため、これから会社を設立する場合は、株式会社か合同会社のいずれかを選択することになります。
有限会社の特徴を理解した上で、ご自身の事業計画や将来展望に合った会社形態を選択しましょう。
まとめ
合同会社、株式会社、有限会社の違いについて解説しました。
設立費用を抑えたい、手続きを簡素化したい場合は合同会社がおすすめです。
一方、社会的信用力や資金調達力を重視するのであれば株式会社が適しています。
有限会社は現在新規設立できませんが、既存の有限会社にはメリットも残されています。
それぞれの会社形態の特徴を理解し、自身の事業計画や将来のビジョンに合った会社形態を選択することが重要です。