定款の事業目的を決める際の注意点を徹底解説!失敗しないための書き方ガイド

会社の設立準備で多くの人が悩む、定款の事業目的。
その書き方を間違えると、許認可が下りなかったり、融資で不利になったりする可能性があります。

この記事を読めば、そうした失敗を避けるための7つの重要な注意点がわかります。

結論として、事業目的は「適法性・営利性・明確性」の3原則を守り、将来の事業展開まで見据えて戦略的に記載することが成功の鍵です。

業種別の記載例から変更手続きまで網羅しているため、あなたの会社の信頼性を高め、スムーズな船出を実現する事業目的の書き方が具体的に理解できるでしょう。

会社の憲法ともいえる定款。その中でも「事業目的」は、会社がどのような事業を行うのかを内外に示す、まさに会社の顔となる重要な項目です。

安易に決めてしまうと、許認可が下りなかったり、融資で不利になったりと、後々の事業運営に大きな支障をきたす可能性があります。

ここでは、会社設立で失敗しないために、事業目的を決める際に必ず押さえておきたい7つの重要な注意点を徹底的に解説します。

許認可の取得漏れに注意する

事業を始めるにあたり、特定の業種では国や地方公共団体からの「許認可」が必要となります。

例えば、中古品を売買するなら古物商許可、飲食店を経営するなら飲食店営業許可、建設工事を請け負うなら建設業許可が必須です。

これらの許認可を申請する際、定款の事業目的に、許認可の要件を満たす特定の文言が正確に記載されていることが求められます。

もし必要な文言が抜けていると、許認可の申請が受理されなかったり、審査で不許可になったりする恐れがあります。

そうなると、事業目的を変更するために定款変更の手続きが必要となり、余計な時間と費用が発生してしまいます。

これから始めようとする事業に許認可が必要かどうかを事前に調査し、必要な場合は管轄の行政庁(保健所、警察署、都道府県庁など)のウェブサイトで要求される文言を確認するか、行政書士などの専門家に相談しましょう。

将来の事業展開も視野に入れる

会社設立時には具体的な計画がなくても、将来的に展開する可能性のある事業は、あらかじめ事業目的に含めておくことを強く推奨します。

なぜなら、事業を開始してから目的を追加するには、後述する定款変更の手続きが必要になり、手間とコストがかかるからです。

例えば、現在はWebサイト制作を主軸としていても、将来的にはWebコンサルティングやインターネット広告代理業、自社メディアの運営などを手がける可能性があるなら、それらも設立当初から事業目的に記載しておくとスムーズです。

ただし、あまりにも本業と関連性のない事業を無計画に羅列すると、会社の専門性がぼやけてしまい、取引先や金融機関からの信用を損なう可能性もあるため、バランス感覚が重要です。

事業目的の数は10個前後が目安

定款に記載する事業目的の数には、法律上の上限や下限はありません。

しかし、多すぎても少なすぎてもデメリットが生じる可能性があります。

  • 多すぎる場合(例:20個以上)
    「結局、何の会社なのか分からない」という印象を与え、事業内容の信頼性や専門性が低いと判断されるリスクがあります。特に融資審査などでは、事業計画の実現性を疑われる一因にもなり得ます。
  • 少なすぎる場合(例:1〜2個)
    事業の柔軟性が失われます。記載した目的から少しでも外れる業務を行う際に、その都度、定款変更の手間と費用が発生してしまいます。

こうした点を考慮すると、現在すぐに行う事業と、2〜3年以内に着手する可能性のある事業を合わせて10個前後に収めるのが、一般的かつバランスの取れた目安と言えるでしょう。

融資審査への影響も考慮する

日本政策金融公庫や銀行などの金融機関から創業融資や追加融資を受ける際、定款の事業目的は重要な審査項目の一つです。

審査担当者は、提出された事業計画書と定款の事業目的を照らし合わせ、その整合性や事業内容の具体性をチェックします。

このとき、事業目的に一貫性がなかったり、あまりに多くの事業が雑多に記載されていたりすると、「本当にすべての事業を遂行できるのか」「事業計画は現実的なのか」と計画の信憑性を疑われ、融資審査にマイナスの影響を与えることがあります。

特に創業融資を計画している場合は、どのような事業目的であれば事業の将来性や計画の妥当性を伝えやすいか、という視点を持って検討することが不可欠です。

適法性・営利性・明確性の3原則を守る

事業目的は、法律で定められた3つの基本原則を満たしている必要があります。

この原則から外れた目的は、登記申請をしても法務局に受理されません。

原則内容具体例
適法性事業内容が法律に違反していないこと、公序良俗に反していないこと。NG例:「賭博場の経営」「詐欺行為の代行」など、犯罪や違法行為にあたる事業は記載できません。
営利性株式会社や合同会社は利益を追求し、株主や社員に分配することが前提のため、事業内容に営利性が認められること。NG例:「ボランティア活動」「寄付活動」など、利益を目的としない活動は事業目的として認められません。
明確性誰が読んでも事業内容を具体的に理解できる言葉で記載されていること。一般的でない専門用語や抽象的な表現は避ける必要があります。NG例:「世界平和に貢献する事業」「コミュニケーション創出事業」など。
総務省が定める「日本標準産業分類」を参考にすると、明確で適切な表現を見つけやすくなります

「その他付随する事業」の一文を有効活用する

事業目的をいくつか並べた後、その最後の項目として「前各号に附帯又は関連する一切の事業」という一文を加えておくのが定石です。

これは「マジックワード」とも呼ばれ、非常に重要な役割を果たします。

この一文があることで、定款に個別に記載した事業目的に直接関連する業務であれば、広く会社の事業範囲として認められるようになります。
これにより、事業活動の柔軟性が格段に高まります。

例えば、「ソフトウェア開発」という目的があれば、それに付随する「開発したソフトウェアの保守・運用業務」もこの一文によってカバーされると解釈できます。

ただし、この一文は万能ではありません。記載した事業と全く関連性のない新規事業(例:IT企業が突然飲食店の経営を始めるなど)までを正当化するものではないため、過信は禁物です。

目的の変更には手間と費用がかかることを知っておく

これまで述べてきた注意点を軽視して事業目的を決め、後から変更や追加が必要になった場合、その手続きは決して簡単ではありません。

定款の事業目的を変更するには、以下の手続きと費用が発生します。

  1. 株主総会での特別決議
    定款変更は会社の根幹に関わる重要事項であるため、株主総会において、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成を得る「特別決議」が必要です。
  2. 法務局への変更登記申請
    株主総会で決議された後、2週間以内に管轄の法務局へ事業目的の変更登記を申請しなければなりません。

この手続きには、以下の費用がかかります。

費用項目金額の目安備考
登録免許税30,000円法務局に納める税金で、必ず発生します。
専門家への報酬30,000円~60,000円程度司法書士などに手続きを依頼する場合に発生します。

このように、事業目的の変更には少なくとも3万円のコストと、株主総会の開催や書類作成といった多大な手間がかかります

だからこそ、会社設立の段階で、将来を見据えて慎重に事業目的を検討することが、最も賢明かつ効率的なのです。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

定款の事業目的は、会社の「顔」とも言える重要な項目です。

登記官や金融機関、取引先といった第三者が見ても、何をしている会社なのかが一目で理解できるように記載しなければなりません。

ここでは、誰が読んでも分かりやすい事業目的を作成するための基本的な書き方を、構成要素の分解と具体的な比較例を通して解説します。

前章で解説した7つの注意点を念頭に置きながら読み進めてください。

事業目的の構成要素

分かりやすい事業目的を作成するには、まずその構成要素を理解することが近道です。

事業目的は、一般的に「どのような事業を」「どのように行うか」という要素を組み合わせて作られます。

漠然と考えるのではなく、これらの要素に分解して自分のビジネスを当てはめてみましょう。

例えば、「Webサイト制作事業」を始めたい場合、以下のように分解できます。

  • 事業の種類:Webサイト、Webコンテンツ
  • 提供する行為:企画、デザイン、制作、開発、保守、運営、コンサルティング
  • 提供方法・対象:インターネットを利用した、企業向けの、等

これらの要素を組み合わせることで、「企業のWebサイト及びWebコンテンツの企画、デザイン、制作、保守及び運営」といった具体的で明確な事業目的を作成できます。

単に「Webサイト制作」と書くよりも、事業の範囲や専門性が格段に伝わりやすくなります。

このように要素を分解し、組み合わせることで、自社の事業内容を的確に表現する文章を作ることができます。

良い事業目的と悪い事業目的の比較

事業目的の良し悪しは、会社の信用性や将来の事業展開、さらには融資の可否にまで影響を及ぼします。

ここでは、登記申請が受理されにくかったり、対外的な信用を得にくかったりする「悪い例」と、それを改善した「良い例」を比較しながら、具体的な書き方のポイントを見ていきましょう。

重要なのは、抽象的な表現を避け、誰が読んでも事業内容を具体的にイメージできることです。

以下の表を参考に、ご自身の事業目的が第三者にとって分かりやすいものになっているかを確認してみてください。

観点悪い事業目的の例良い事業目的の例解説
明確性各種サービス業飲食店の経営及びケータリングサービスの提供「サービス業」では事業内容が全く伝わりません。金融機関や取引先が事業内容を把握できず、信用を得られない可能性があります。
どのようなサービスを提供するのか、具体的に記述する必要があります。
網羅性ホームページの制作ウェブサイト及びウェブコンテンツの企画、デザイン、制作、運営、保守及び管理単に「制作」だけだと、関連する企画業務や公開後の保守・運営業務を行う際に、事業目的の範囲外と見なされる可能性があります。
将来行う可能性のある関連業務も網羅しておくことが重要です。
具体性コンサルティング事業中小企業を対象とした経営コンサルティング業務及びマーケティングに関するコンサルティング業務「コンサルティング」も非常に範囲が広い言葉です。どのような分野(経営、IT、人事など)で、どのような対象(企業、個人など)にコンサルティングを行うのかを具体的にすることで、会社の専門性が明確になります。
一般的な言葉の使用シナジスティック・イノベーション事業インターネットを利用した広告代理店業及び新規事業に関するコンサルティング一般的でないカタカナ語や意味の分かりにくい造語は、登記官に受理されない原因となります。
法務局の登記実務では、事業目的の文言が辞書や一般的に通用する言葉で説明できるかが問われます。誰にでも理解できる平易な言葉を選びましょう。

このように、悪い例は抽象的で事業の実態が掴みにくい一方、良い例は具体的で、その会社が何を生業としているのかが一目瞭然です。

定款の事業目的を作成する際は、常に「第三者が見て理解できるか」という視点を忘れないようにしましょう。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

定款の事業目的を作成する上で、最も参考になるのが同業他社の記載例です。

ここでは、特に起業が多い人気の業種を中心に、具体的で分かりやすい事業目的のサンプルを解説付きでご紹介します。

ご自身の事業内容に合わせて、これらのサンプルをカスタマイズしてご活用ください。

IT関連事業のサンプル

IT関連事業は技術の進歩が速く、事業領域が広がりやすいのが特徴です。

そのため、将来展開する可能性のある事業を幅広く含めておくことが、後々の事業目的変更の手間を省くための重要なポイントとなります。

システム開発

システム開発を主軸とする場合、開発だけでなく保守・運用や関連するコンサルティング業務まで記載しておくと、事業の多角化にスムーズに対応できます。
SES(システムエンジニアリングサービス)事業を行う場合は、その旨を明確に記載することが望ましいです。

  • コンピュータソフトウェア、アプリケーションの企画、設計、開発、販売、賃貸、保守及び管理
  • 情報処理サービス業及び情報提供サービス業
  • コンピュータシステムの導入及び活用に関するコンサルティング
  • サーバー、ネットワークの設計、構築、運用、保守及び監視
  • IT技術に関する教育、研修事業
  • 労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業
  • 前各号に附帯又は関連する一切の事業

Webサイト制作

Webサイト制作だけでなく、その後の運用保守、Webマーケティング、コンテンツ制作なども目的として記載しておきましょう。
制作後の継続的な収益モデルを視野に入れた目的設定が、安定した経営基盤を築く鍵となります。

  • Webサイト、Webコンテンツ、その他デジタルコンテンツの企画、制作、デザイン、開発、販売、保守及び運営
  • インターネットを利用した広告、宣伝、マーケティングに関する業務
  • 企業の広報活動に関するコンサルティング及び代行業務
  • 写真、動画の撮影、編集及び加工
  • ロゴ、イラスト、キャラクター等のデザイン制作
  • 前各号に附帯又は関連する一切の事業

コンサルティング事業のサンプル

コンサルティング事業は対象とする分野が多岐にわたります。

「経営コンサルティング」といった包括的な表現だけでなく、得意とする専門分野(例:財務、人事、マーケティング)を具体的に示すことで、会社の専門性と信頼性をアピールできます。

  • 経営全般に関するコンサルティング業務
  • 企業の新規事業開発及びマーケティングに関する調査、企画、支援業務
  • 人材の育成、能力開発、組織開発のための研修、セミナーの企画及び運営
  • M&A(企業の合併・買収)に関する仲介、斡旋及びアドバイザリー業務
  • 各種講演会、セミナー、イベントの企画、開催及び運営
  • 書籍、雑誌その他印刷物の企画、執筆、編集及び出版
  • 前各号に附帯又は関連する一切の事業

小売業・卸売業のサンプル

実店舗での販売だけでなく、インターネット通販(ECサイト)の運営も一般的になっています。

「インターネットを利用した通信販売」という一文を必ず入れておきましょう。
また、将来的に自社ブランドの商品開発を行う可能性も考慮し、商品の企画・開発に関する目的も加えておくと万全です。

  • 衣料品、服飾雑貨、アクセサリー、日用品雑貨の企画、製造、卸売及び小売販売
  • インターネット等の通信網を利用した通信販売業
  • 古物営業法に基づく古物の売買
  • 輸出入貿易業及びその代理、仲介
  • 販売促進に関するコンサルティング業務
  • 前各号に附帯又は関連する一切の事業

人材紹介・派遣事業のサンプル

人材紹介業や労働者派遣業は、事業を行うために行政からの許認可が必須です。
そして、その許認可申請の際に、定款の事業目的に特定の文言が含まれていることが求められます。

記載漏れがあると許認可が下りないため、細心の注意が必要です。

事業の種類根拠法事業目的への記載が必須の文言
有料職業紹介事業職業安定法有料職業紹介事業
労働者派遣事業労働者派遣法労働者派遣事業

上記の必須文言を必ず含めた上で、以下のように具体的な業務内容を記載します。

  • 有料職業紹介事業
  • 労働者派遣事業法に基づく労働者派遣事業
  • 採用活動に関するコンサルティング及びアウトソーシング事業
  • 求人広告の企画、制作及び広告代理店業
  • 雇用、能力開発に関するコンサルティング業務
  • 各種研修、セミナーの企画及び運営
  • 前各号に附帯又は関連する一切の事業
会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

会社を設立する際、必ず定めなければならない「事業目的」。

単なる手続き上の項目だと軽視されがちですが、実は会社の根幹をなす非常に重要な要素です。

この章では、なぜ定款に事業目的を記載する必要があるのか、その法的な役割と実務上の重要性について、基本から分かりやすく解説します。

定款における事業目的の役割

定款における事業目的には、主に3つの法的な役割があります。
これらは会社の活動の土台となるものであり、正しく理解しておくことが不可欠です。

  1. 会社の活動範囲を定める
    事業目的は、その会社が「何をするために存在するのか」を内外に明確に示す、いわば会社の憲法のようなものです。
    会社は、定款で定められた事業目的の範囲内でしか活動することができません。これを「権利能力の範囲」と呼びます。
    目的外の事業活動によって結ばれた契約は、後から無効と判断されるリスクもゼロではありません。
  2. 絶対的記載事項であること
    事業目的は、会社法によって定められた「絶対的記載事項」の一つです。
    これは、定款に必ず記載しなければならない項目であり、記載がなければ定款そのものが無効となり、会社の設立登記ができないことを意味します。
    それほどまでに、事業目的は会社にとって根源的な要素なのです。
  3. 役員の権限の範囲を明確にする
    事業目的は、取締役をはじめとする役員の権限がどこまで及ぶのかを示す基準にもなります。
    役員は定款の事業目的を達成するために行動する義務を負っており、目的の範囲を逸脱した行為は、権限濫用として責任を問われる可能性があります。

事業目的が会社の信頼性を左右する

事業目的は、法的な役割だけでなく、金融機関や取引先からの信頼性を獲得する上でも極めて重要な役割を果たします。

会社の登記事項証明書(登記簿謄本)を取得すれば誰でも事業目的を確認できるため、会社の「顔」として常に見られている意識を持つことが大切です。

具体的に、どのような場面で事業目的が信頼性の判断材料となるのかを見ていきましょう。

評価する相手事業目的から判断されること
金融機関融資を申し込む際、事業目的は事業計画の妥当性や将来性を判断する重要な材料となります。
事業内容が不明確であったり、あまりに多くの事業が羅列されていたりすると、事業への本気度を疑われ、融資審査で不利に働く可能性があります。
取引先新規で取引を開始する際、多くの企業は相手の会社の登記事項証明書を確認します。
事業目的に自社との関連事業が記載されていれば安心材料になりますが、全く関係のない事業ばかりが並んでいると、「本当にこの会社と取引して大丈夫だろうか」という疑念を抱かせる原因になりかねません。
許認可の審査機関建設業や飲食業、人材紹介業など、特定の事業を行うためには行政からの許認可が必要です。
その際、定款の事業目的に、許認可の対象となる事業内容が正確に記載されていることが申請の絶対条件となります。
記載がなければ、許認可を取得すること自体ができません。
顧客・消費者BtoCビジネスの場合、会社のウェブサイトなどで事業内容を紹介します。
定款の事業目的とウェブサイトで謳っている事業内容が一致していることは、顧客に対して誠実な企業姿勢を示すことにつながり、安心感と信頼を与えます。

このように、事業目的は単なる形式的な記載事項ではなく、会社の法的基盤を定め、事業活動の羅針盤となり、さらには社会的な信用を構築するための重要なツールなのです。

会社設立時に慎重に検討することが、その後のスムーズな事業運営の礎となります。

会社設立の代行費用実質0円、個人事業主とのメリットデメリット流れと手順

会社の成長や事業環境の変化に伴い、定款で定めた事業目的を変更・追加する必要が出てくることがあります。

事業目的の変更は、会社の根幹に関わる重要な手続きであり、正しい手順を踏む必要があります。

ここでは、事業目的を変更するための具体的な手続きを、順を追って詳しく解説します。

手続きは大きく分けて「株主総会での決議」と「法務局への変更登記申請」の2つのステップで進めます。

この手続きを怠ると過料の対象となる可能性もあるため、確実に行いましょう。

株主総会での決議

定款の記載事項である事業目的を変更するには、まず株主総会を開き、定款変更の承認を得なければなりません。

定款変更は会社の重要事項であるため、普通決議ではなく「特別決議」が必要となります。

特別決議が可決されるための要件は、会社法で次のように定められています。

  • 議決権を行使できる株主の過半数が出席した株主総会であること(この定足数は定款で3分の1まで緩和可能)
  • 出席した株主の議決権の3分の2以上の賛成があること

無事に特別決議で承認されたら、その証明として「株主総会議事録」を作成します。
この議事録は、後の法務局への変更登記申請で必ず必要となる重要な書類です。

議事録には、開催日時、場所、出席役員・株主、議案、決議の結果などを正確に記載し、議長および出席取締役が記名押印します。

法務局への変更登記申請

株主総会での決議が終わったら、次に法務局で登記事項の変更手続きを行います。

この変更登記申請は、株主総会で決議した日から2週間以内に行わなければならないと定められています。

期限を過ぎてしまうと、代表者個人が100万円以下の過料に処される可能性があるため、速やかに手続きを進めましょう。

申請は、会社の本店所在地を管轄する法務局に対して行います。

申請に必要な主な書類は以下の通りです。

  • 株式会社変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 委任状(司法書士などの代理人に依頼する場合)

申請書には、変更後の事業目的を正確に記載し、登録免許税として30,000円分の収入印紙を貼付します。

申請方法は、法務局の窓口へ持参するほか、郵送やオンライン(G-BizIDを利用)での申請も可能です。

変更手続きにかかる登録免許税と専門家報酬

事業目的の変更手続きには、必ず発生する費用と、専門家に依頼した場合に発生する費用があります。

あらかじめ予算を把握しておきましょう。

手続きにかかる費用の内訳は、主に以下の2つです。

  1. 登録免許税
    法務局へ変更登記を申請する際に納める税金です。事業目的の変更にかかる登録免許税は、1回の申請につき一律30,000円です。追加する目的の数に関わらず、金額は変わりません。
  2. 専門家への報酬
    株主総会議事録の作成から登記申請までの一連の手続きを司法書士などの専門家に依頼した場合に支払う報酬です。報酬額は事務所によって異なりますが、一般的には3万円~5万円程度が相場です。

費用と手間を比較検討し、自社で手続きを行うか、専門家に依頼するかを判断しましょう。

手続き方法費用の目安メリットデメリット
自分で手続きする登録免許税30,000円のみ費用を最小限に抑えられる手間と時間がかかる
書類作成に専門知識が必要
書類不備でやり直しになるリスクがある
司法書士に依頼する登録免許税30,000円 + 報酬30,000円~50,000円程度迅速かつ確実に手続きが完了する
書類作成の手間が省ける
本業に集中できる
報酬分の費用がかかる

書類作成に不慣れな方や、手続きに時間をかけたくない方は、専門家への依頼を検討することをおすすめします。

専門家に依頼することで、手続きのミスを防ぎ、スムーズに事業目的の変更を完了させることができます。

本記事では、定款の事業目的を定める際の注意点から具体的な書き方までを解説しました。

事業目的は、許認可の取得や融資審査、ひいては会社の社会的信用を左右する非常に重要な項目です。

将来の事業展開も視野に入れ、「適法性・営利性・明確性」の3原則を守って記載することが、円滑な会社経営の結論と言えます。

後からの変更には株主総会の決議や登記費用が必要となるため、本記事の注意点や記載例を参考に、設立段階で慎重に検討しましょう。

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